うちの園の保育目標のひとつに「インクルージョン保育」というものがあります。
これは、直訳すると「包括的な保育、内包的な保育」となりますが、子どもの年齢、人種、性差、国、障害の有無などに関係なく、どんな子どもでも一人の人間としての尊厳を持ちつつ園生活を送れることを意味します。
インクルーシブな保育とも言われますが、このインクルージョンの考え方が、平成30年度4月より改定される保育所保育指針にも明記されます。
インクルージョンの考え方がはっきり明記されたのは、今回の改定が初めてです。
ようやく明記されたかぁ~と思いましたが、ちょっと注意が必要だなと思うのが、この「インクルージョン」という言葉が、障害に特化して使われがちということです。
冒頭でも記しましたが、障害の有無だけでなく、年齢や人種、性差、国などすべてにおいて、というところが見落とされがちです。
例えば、日本の場合、年齢でクラス編成をしたり、就学をきめたりしますから、厳密に言うとインクルージョンとはかけ離れています。
〇〇歳だから、これができないとおかしい。
男の子だからこうあるべきだ。
人種が違うから日本に合わせるべきだ。
こういった考え方はすべてインクルーシブな考え方ではありません。
ちなみに、今回の保育所保育指針の改定は、保育所だけのものではなく、子ども園や幼稚園など就学前教育の施設に対しての指針や学習要領と一部、まったく同じ内容になっています。
その根底には、このインクルーシブな考え方があり、就学前における教育施設では共通しての子ども観となります。
この考え方にどれほどの現場が理解を示せるかが、今後の課題となるといえます。
インクルージョン保育という言葉が、これまではほとんど通用せず、どこにいっても説明しないといけませんでした。
中には、特殊なことをやっている、とか、○○式と言われるようなメソッド的な保育方法と捉えられることも多くあり、イヤミを言われることも多くありましたが、国の指針によって、ようやく明記されるわけですから、今後、一般的な言葉になっていくことと思います。
これはなにも、嫌な思いをしたことに対してその思いが払しょくできる!という個人的なことではなく、インクルーシブな考え方が浸透することで、多くのこれまで辛い思いを抱えてきた人々の道が開けていくことにつながるということです。
先月UPしたAIにも関連しますが、今後の世の中は、めまぐるしく変化を遂げていくことが予想されます。
進化なのか退化なのか、滅亡に向かっているのか、その先はわかりませんが、AIを含む様々な技術や科学が進歩することで、人類のあり方もこれまでと同様というわけにはいかなくなってきます。
これからを生きていく子どもたちに、何を伝えていくのか、何を身に付けさせるべきなのか、そのベースとなるもののひとつに、このインクルーシブな考え方が挙げられるのではないでしょうか。