昨日、脳の検査技術について書きましたが、誤解を招くといけないので追加しておきます。
確かに生後間もなくの脳を検査することで、発達障害等の可能性の有無が判断できる技術が開発されていますが、生まれつきの脳が何かしらの不具合があったからといって、それが一生続くわけではありません。
人間の脳は、誰一人として同じ重量、同じ形はない上に、日々様々な発達を遂げます。
つまり、環境(家庭・社会・自然・周囲の人や物などすべて)によって、良くも悪くもなるのです。
ですので、生まれつきの脳の状況に不具合があったとしても、その不具合が解消される可能性が大きくあります。
特に、生後から思春期を迎える10歳前後くらいまでの発達が目覚しいのですが、それ以降も、人間の脳は死を迎えるまで発達し続ける器官だそうです。
思春期といえば、2001年にスペインのグラナダで行われたOECDのフォーラムにおいて、ホセ-マヌエル・ロドリゲス-フェレール博士がある仮説を提起しています。
思春期以降に見られる青年期(20から30代も含む)特有の社会的・行動的・心理学的特徴は、これまではホルモンのバランスが崩れることによって起こるとされていましたが、実は、前頭前野が成熟する期間であり、20から30代になってもまだ完成しないとの見解を提唱しました。
交通事故を例に挙げてみれば、30代後半から交通事故を起こす人が急激に減るという事実があります。
前頭前野は感情や自己制御力を司る脳の器官でもありますので、そう考えると、30代後半になって人間はようやく自分の感情を上手にコントロールできるようになるのかもしれません。
上記の説はしっかりとしたデータを元になされた提唱ですが、あくまでも2001年時点では仮説であり、完全な科学的根拠があったわけではありません。2001年から10年以上経過した現在では、どのように実証されているのか、もしくはやはりあくまでも仮説であったのか、とても気になるところです。