心理学の世界では、有名な「心の理論」。
これは、他者の立場になって考えることができるか、つまり、他者の気持ちを汲み取ることができるかを図る課題によって知ることができます。
その課題とは次のようなものです。
①部屋にサリーとアンがいます。
②サリーはカゴを、アンは箱を持っています。
③サリーはビー玉を持っています。そのビー玉を自分のカゴに入れました。
④サリーは散歩に出かけました。
⑤アンは、サリーのビー玉をカゴから取り出すと、自分の箱に入れました。
⑥さて、サリーが帰ってきました。自分のビー玉で遊びたいと思ったサリーは、どこを探すでしょうか。
サリーは、散歩に出かけている間に、ビー玉を移動させられているので、まず自分のカゴを探しますよね。
ですが、他人の立場になって考えることができない幼い子どもや、コミュニケーションが不得意なタイプの子どもは、「アンの箱」と答えます。
ビー玉がどこに入っているかが重要なのではなく、サリーがどこに入っていると思うかが重要なわけなんですね。
これは、欧米でよく使われる課題なのですが、欧米では、およそ4歳くらいになると課題をクリアする、つまり、心の理論が理解できるという結果に対し、日本人は、5・6歳との結果が出ています。
この年齢差のはっきりとした原因は、まだ研究が進んでいないためにはっきりしたことはわかっていないのですが、課題側の言語の違いによるものであるとの一説もあります。
個人的には、それ以外にも、日本における子どもの状況が、コミュニケーションをおろそかにしている結果なのでは、とも思っています。