先日、参加してきた赤ちゃん学会での講座で出てきたお話のひとつに、「ヒトの発達」に関するものがありました。
私たちは、「発達する」という言葉を聞くと、「右肩上がりに成長していく」と考えてしまいますよね。
ですから、子どもが発達する=子どもが右肩上がりに成長する、と考えがちです。
この「発達する」という概念ですが、実は、ヒトが発達するということは、「ムダなものを削って自分に必要なものを残していく」ことなのだそうです。
ヒトの脳は、そのヒトの発達に必要なものを作っては壊し、作っては壊しを繰り返して、成長していくとのこと。
その段階で、自分にとって必要なものを残していくのだそうです。
よく、保育園時代にはできていたことが、就学してからできなくなった、というような話を聞きますが、これは上記のことを現しているのではないでしょうか。
行き過ぎた早期教育で、子どもにとっていいものを、という思いから、様々なことを植えつけようとしますが、その場ではできたとしても、それから先に、その子どもの脳が、不必要なものであると認識した場合や、他に発達させなければならないものがあった場合など、せっかく植えつけたものも、「ムダなもの」として削られていくわけです。
要するに、何でもやれば何でも身につく、というわけではないということです。
ただ、時間がたって、本人にとってそれが必要だった場合は、一旦消えたものが再び現れてくることもあります。
ですから、大事なのは、子どもをよく観察することなのでしょうね。
その子どもが今、何を求め、自分の中の何を発達させようとしているのか、それらは、子どもの行動にすべて現れます。
それを無視して、「こうあるべきだ」とおとなの価値観で何かをさせることは、子どもの発達を歪ませてしまう大きな原因のひとつになります。
もう一度、「子どもをよく見る」ということを考え直すことが大切なのではないでしょうか。