人のために何かを行うということは、とても素敵なことだと思います。
困っている人に手を差し伸べるのは、人として当然のことだと思いますし、また、困っていることを互いに言い合い、互いに助け合える関係というのは、信頼関係がないとできないことです。
ただ、この「人のため」という大義名分ですが、相手が望んでいないのに「あなたのため」だと押し付けてしまうのは、どうかと思います。
これはほんとにもうただのお節介になってしまいますよね。
困っている人がいて、その人が何に困っているのか、何を求めているのか、それをきちんと聞いた上でその人のために何か行動することが、「人のため」であるのではないかと思います。
これはそのまま、子どもに対しても言えることです。
子どもが何に困っているか、何を求めているか、それをちゃんと聞ける関係をつくること。
自分の言葉で上手く表現できない子どもの場合は、それをきちんとその子どもの立場になって見極めること。
これらのことが保育には必要なのだと思います。
子どもが何も困っていないのに、先回りして、おとなが何でもかんでも口を出し、「子供のため」だからと、本人の意志に関係なしにあれこれさせることは、ただのお節介であり、そればかりか、子どもの発達を捻じ曲げてしまう要因にもなりかねません。
おとなはどうしても、子どもよりも人生経験が長いため、いろんな知識を持っています。
そのために、子どもが自ら経験する前に、事前に行動を止めてしまいがちです。
ですが、子どもは、おとなが思っている以上に、自分自身ができることとできないことを理解しています。
子どもの行動は、その時その子どもの発達上、必要だからその行動を取るという理由があります。
私たちおとなは、もっと子どもを信じるということが必要なのではないかと思います。